ジェーン台風
1950年9月3日、ジェーンと名付けられた台風が大阪を襲う。当時大阪に公立の美術学校をつくろうという話が確かにあったようだが、彼女はその計画を見事に洗い流してしまった。水と土が溶け合うそのただなかから、再び生きることを始めた人たちがいる。それはもしかすると、「生活」と「美」の乖離を考える上で、必要な手続きを差し出してくれるかもしれない。
緞帳
幕が上がると同時に役目を終え、折り畳まれて隠れ去る緞帳には、しかし多くの美術家が関わりを持っているようだ。大阪朝日会館のそれは日本初の綴織緞帳であった。見るものと見られるものを隔てる緞帳自体を、私たちは果たして見ていたのだろうか。たとえもうそれが存在しないとしても、私たちはなお、それを見ることができるのではないだろうか。
マネキン
20世紀、多くのマネキン製作現場には彫刻家の存在があった。彼らの「しごと」とはいかなるものであったのか。彫刻をつくることと、マネキンをつくることとの間について考えること。マネキンの微笑みを真剣な眼差しで造形したひとがいるということ。そして洒落た服を着て微笑むあなたがいるということ。
IMAX
天保山ーそこにはかつて美術館があり、今は巨大なスクリーンがある。
立体を平面へと写し取り、再び立体へと送り返す光。IMAX。そこまでして私たちは身体を光へと没入させたいのだろうか。私たちは防衛されているのだろうか。映画を生み出した兄弟は、まず工場の労働者たちを撮った。
- 2017.2.19 2月20日 – :応援
- 2017.2.12 2月12日:トークイベント gnck×長谷川新
- 2017.2.10 2月17日 – 2月19日:搬出期間
出展作家
Artists
- 荒木悠Yu Araki
- 伊東孝志Takashi Ito
- 大森達郎Tatsuro Omori
- 荻原一青Issei Ogihara
- 川村元紀Motonori Kawamura
- 清水九兵衛Kyubee Kiyomizu
- 斎藤義重Yoshishige Saito
- 笹岡敬Takashi Sasaoka
- 清水凱子Yoshiko Shimizu
- ジャン=ピェール・ダルナJean-Pierre Darnat
- 鈴木崇Takashi Suzuki
- 遠藤薫Kaori Endo
- 田代睦三Mutsumi Tashiro
- 谷中佑輔Yusuke Taninaka
- 牧田愛Ai Makita
- 三島喜美代Kimiyo Mishima
- 持塚三樹Miki Mochizuka
- 吉原治良Jiro Yoshihara
- リュミエール兄弟The Lumière brothers
イベント
Events
「クロニクル、クロニクル!」では、1年間を通して、また2回の展覧会会期中を通して、たくさんのイベントを開催します。例えば今回の展覧会は「搬入」も「搬出」も会期内に含まれています。あなたが名村造船所を訪れるときにも、きっと何かが起きています。
開催概要
Outline
1911年に操業を開始した名村造船所。現在は近代化産業遺産にも登録され、アートスペースとして生まれ直している。そこは、つくることと生きることがひとつであるような場所だ。
つくることと生きることを、端的に「しごと」と名指すことができるかもしれない。日々の繰り返しの中で研磨される「しごと」と類するような展覧会をしようと思う。会期は1年間とする。
会期を1年間とする
本展はタイトルからすでに繰り返されている。同じ展覧会を2度繰り返す。展覧会は、始まりと終わりの2回、繰り返される。
一度目は2016年1月25日(月)から2月21日(日)まで。二度目は2017年1月23日(月)から2月19日(日)まで。ただし、「クロニクル、クロニクル!」は1年続く。
ふたつの会期は仮設的なフレームー暫定的な始まりと終わりーとして存在している。展覧会は通過していくものとして、繰り返されるものとして存在している。
展覧会を2度、名村造船所跡で行う
ふたつの会期のあいだも、さまざまな出来事が繰り返される。
作品は移動し続けるかもしれないし、展覧会は違う機能を持つことになるかもしれないし、どこかで誰かが何かを語り始めるかもしれない。変わるかもしれないし、変わらないかもしれない。変わっていても気づかないかもしれない。でもそれは劇的な変化かもしれない。
とはいえまずこう言い切ろうと思う。2度行われるという展覧会において、毎日の繰り返しにおいて、複製され膨張しすべてを把握することなど到底出来ないたくさんの物質とたくさんの人間がいる世界において、僕は、あなたは、絞り出すような声で叫びたいのだ。繰り返される「クロニクル=年代記」を。
1年間考え続けること
だって、人は生きた印を残すことなどほとんどできないのですもの。(…)だって、人はやり続けるか、続けなければならないうちに、突然すべてが終わり、結局その人があとに残すのは、その上に文字が刻まれた一塊の石ころだけになるでしょうからね、それにその石ころだって、そこに文字を刻んで建てるのを忘れないか、それだけの暇のある人がいればの話で、石を建ててもらっても、その石の上に雨が降ったり、太陽が照らしたりしているうちに、しばらく経てば、彫られた名前も思い出さなければ、ひっかき傷の意味も忘れてしまい、そんなものは取るに足りないものになります。ですから、もし誰かのところへ行き、それも他人の方が好都合なのですけれど、その人に何かをー一枚の紙きれでもー何でもいいから何かを手渡すことができれば、たとえそのもの自体は何の意味もなく、それを預かった人が読みもしなければ、しまってもおかず、わざわざ捨てたり破ったりさえしなくても、手渡すという行為があったというだけで、少なくともそれには何かの意味があるのです、と申しますのは、一つの手から別の手へ、一つの心から別の心へと渡されるだけでも、それは一つの出来事として記憶されるでしょうし、それは少なくとも一つのひっかき傷に、何がしかのものに、それがいつかは死ぬことができるという理由から、かつてあったという印をどこかに刻みつけるかもしれない、何がしかのものになるでしょう、それに比べますと、一塊の石ころは死んだり消えたりできませんから、かつてあったことにはなれません、ですから今あることもできないのです『アブサロム、アブサロム!』W・フォークナー
“Absalom, Absalom!” William Faulkner, 1936
会期:
2016.1.25 MON 2017.2.19 SUN
展覧会:
2016.1.25 MON 2.21 SUN
2017.1.23 MON 2.19 SUN
13:00-19:00/休廊日:火・水曜日/入場無料
会場:
CCO クリエイティブセンター大阪
〒559-0011
大阪市住之江区北加賀屋4丁目1番55号
名村造船旧大阪工場跡
phone: 06-4702-7085
mail: cco@namura.cc
web: http://www.namura.cc/
アクセス
Access
CCO クリエイティブセンター大阪
- 〒559-0011
大阪市住之江区北加賀屋4丁目1番55号
名村造船旧大阪工場跡
- 大阪市営地下鉄四つ橋線
北加賀屋駅4番出口より徒歩10分 - 駐車場:200台
主催:
クロニクル、クロニクル! 実行委員会
(𡈽方大 ディレクター+長谷川新 キュレーター)
協力:
大阪府立 江之子島文化芸術創造センター / enoco、 ギャラリーヤマキファインアート、 東京都写真美術館、 特定非営利活動法人 キャズ (CAS)、 株式会社 七彩、 東山 アーティスツ・プレイスメント・サービス (HAPS)、 朋優学院高等学校、 MISAKO & ROSEN
協賛:
アイ・オー・データ機器、 オーエム通商